生命医科学研究科 機能構造科学研究室 廣西 麗加さんが、第63回NMR討論会で最優秀若手ポスター賞を受賞!
2024.11.26
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生命医科学研究科 博士前期課程2年(機能構造科学研究室所属)の廣西 麗加さんが、2024年10月30日~11月1日に北海道大学で開催された第63回NMR討論会において、「溶液NMR法を用いた光駆動膜タンパク質RxRのプロトン放出メカニズムの解析」について発表し、最優秀若手ポスター賞を受賞しました。おめでとうございます!廣西さんの発表についてご紹介します。
受賞者
受賞者
生命医科学研究科 博士前期課程2年
機能構造科学研究室所属
廣西 麗加 さん
指導教員
大学院生命医科学研究科
機能構造科学研究室 高橋 栄夫 教授
受賞内容
発表タイトル
「溶液NMR法を用いた光駆動膜タンパク質RxRのプロトン放出メカニズムの解析」
受賞者
生命医科学研究科 博士前期課程2年
機能構造科学研究室所属
廣西 麗加 さん
指導教員
大学院生命医科学研究科
機能構造科学研究室 高橋 栄夫 教授
受賞内容
第63回NMR討論会
最優秀若手ポスター賞
発表タイトル
「溶液NMR法を用いた光駆動膜タンパク質RxRのプロトン放出メカニズムの解析」
ー今回受賞した研究内容について廣西さんに解説していただきました。
微生物型ロドプシンは光に反応して構造を変化させることで、物質や情報の輸送を行うため、光を利用した治療薬の開発や生物工学分野への応用が期待されています。それらの研究開発を進めるためにはその機能発現メカニズムの解明が重要です。しかし、プロトン(水素イオン)の輸送を行うロドプシンにおけるプロトン放出のメカニズムについては十分に理解されているとは言い難い状況にありました。
本研究では、プロトンポンプ型ロドプシンであるRxR (R. xylanophilus rhodopsin)を用いてプロトン放出メカニズムや関与するアミノ酸残基の解明を目指しました。先ず、溶液NMR*1法を用いた全残基レベルの解析を行い、プロトン放出への関与が推定される領域が特定のアミノ酸残基の電荷環境に支配されていることを明らかにしました。さらに、研究グループで開発した光照射溶液NMR法 を含む詳細な解析を進めた結果、プロトン放出領域の電荷環境を支配するアミノ酸残基が、タンパク質内部に存在するアルギニン残基であると同定するとともに、RxRにおける迅速なプロトン放出メカニズムに関する考察を行いました。発表においては、このようなロドプシンの機能に関わる構造情報を得るうえで、NMR法が極めて有効な手法であることを示せたと考えます。
本研究では、プロトンポンプ型ロドプシンであるRxR (R. xylanophilus rhodopsin)を用いてプロトン放出メカニズムや関与するアミノ酸残基の解明を目指しました。先ず、溶液NMR*1法を用いた全残基レベルの解析を行い、プロトン放出への関与が推定される領域が特定のアミノ酸残基の電荷環境に支配されていることを明らかにしました。さらに、研究グループで開発した光照射溶液NMR法 を含む詳細な解析を進めた結果、プロトン放出領域の電荷環境を支配するアミノ酸残基が、タンパク質内部に存在するアルギニン残基であると同定するとともに、RxRにおける迅速なプロトン放出メカニズムに関する考察を行いました。発表においては、このようなロドプシンの機能に関わる構造情報を得るうえで、NMR法が極めて有効な手法であることを示せたと考えます。
本受賞について、廣西さんと指導教員の高橋先生からコメントをもらいました。
受賞者: 廣西 麗加 さんのコメント
この度は、NMR討論会において最優秀若手ポスター賞をいただけたこと、大変光栄に感じております。この成果は、指導教官である高橋先生をはじめ、研究室のメンバー、そして共同研究者の方々のサポートのおかげです。深く感謝申し上げます。また、学会関係者の皆様や審査員の方々にもこのような機会をいただけたこと、心から感謝申し上げます。これを励みに、さらに研究に励んでいきたいと思います。
指導教員:高橋 栄夫 教授のコメント
廣西さん最優秀若手ポスター賞の受賞おめでとうございます。NMR討論会は、生命科学のみならず、化学、創薬、材料、食品、環境等々、あらゆる分野のNMR研究者が集う、私が生まれる前からあるような、歴史ある学会です。そのNMR討論会における若手ポスター賞は、40歳未満の助教やポスドク研究員クラスの研究者も対象としている賞であるため、こう言っては何ですが、廣西さんが今回ポスター賞に応募するにあたり、複数名選出されるポスター賞にギリギリ届けば良いな、という程度でいました。そういった中で、修士課程2年生の廣西さんが受賞、しかも最優秀賞を受賞することになるとは、私自身も驚いているところがあります。発表した研究内容には自信を持っているところはありましたが、当日の廣西さんのプレゼンテーション、質疑対応などが特に素晴らしかったのだと思います。これも日々、研究内容に関し、研究室内および共同研究者と真摯に議論し、研究内容を自分のものにできていたからだと考えます。今後のさらなる進展も期待しています。
用語説明
*1 NMR(Nuclear Magnetic Resonance 核磁気共鳴):水素(1H)原子など原子核の中には磁気モーメントを有し、小さな磁石としての性質を有するものがある。それらの原子は、分子内の磁気的性質を有する他の原子と相互作用をする。NMR装置では、外部から強い磁場を与えた状態で磁気モーメントを有する原子を整列させた後、ラジオ波を照射し平衡状態からズラした際の応答を観測することで、研究対象とするタンパク質分子などを構成する原子間の化学結合様式や原子間距離、原子レベルの運動性、などに関する情報を得ることが可能となる。